コロナも怖いけれど、梅雨の大雨も怖いですね。
ここ数年、この時期には何処かで大きな水害が発生しています。
これだけ続くと、もう「想定外」などと呑気な事を言う人はおらず、政府も含めて誰もが水害の危機を感じています。
ウチで設計する建物は、大きな屋根を基本としているのですが、ここ数年はその意識がより強くなってきました。
そして最近は、巷の軒の出ていない建物を見ると、恐ろしくてしょうがありません。
ところで、事務所の屋根は、化粧野地板表しの3.5寸勾配の片流れです。
急な勾配も片流れも、太陽光発電パネルを載せているので、その効率を優先したためです。
おかげで太陽光発電の効率は想定以上で満足なのですが、屋根を見るたび、金の為に悪魔に魂を売った愚かな自分を悔やんでいました。
そのツケが昨年の大雨の時に現れたのです。
お恥ずかしいのですが、このパターンはダメだという事を知っていただきたいという事で、今回書きます。
事務所の屋根は、化粧野地板表しの3.5寸勾配の北から南への片流れ、軒の出は4方とも3尺、鼻隠しは付いていません。妻側の母屋には化粧で雨よけ板を取り付けてあります。
化粧の面戸板が二重になっていて、間にウレタン系の断熱材が入っています。
実は、昨年の強烈な雨により、北側水上の面戸板部分がから室内に水がしみてきたのです。
3.5寸勾配は約20度ですから、それを超える、ほとんど真横に雨が降ってきた事になります。
そんな事があるのか!とも思いましたが、実際起こっているのですから、あるのです。
昔高知の室戸岬の近く、吉良川の古い町並みを訪ねた時、「高知の雨は下から降ってくる」という話を聞きました。
漆喰で塗り固められた何段もの水切りを持つお蔵が並ぶ特徴的な街並みは、よくテレビなどでも紹介されるので、ご存知の方も多いかと思います。
竹富島も、風雨を避ける為に屋根が漆喰で塗り固められていました。
事務所のある山梨県の峡東地方は、風が吹かない地域だと言われています。
古い建物を観察しても、暴風雨を想定した形状になっていないので、それがよく分かります。
しかし、山梨も高知並みになってきたという事でしょう。
次回に続きます。