2019年9月26日木曜日

190926 サウナのこと7



サウナのこと6  からの続きです。




僕は、旧事務所小屋でペレットストーブを導入し、バイオマスに更に関心が高まりました。そして新しい事務所建設にあたり、暖房として薪ボイラーを採用し(薪ボイラーからスタートしたプランなのです....)現在に至っています。


身をもって、良さも大変さも体験していますが、ただ言えるのは「寒くなるのが待ち遠しい」その一言です。



大変さに関わる重要な条件である「煙突と乾燥」の、まず乾燥の話を書きます。

イケイケガンガンで燃やす、キャンプファイヤーのよう火ならば気にはなりませんが、それほど火の勢いがない、焚き火とか薪ストーブではその影響が大きくなります。


そうなるとも、欅の大黒柱なんてもう20年コースですよね。


逆に、山で集めた薪などで若干湿っているけれども細胞の中は乾燥しているので、意外に燃えるという事もあります。

話はそれますが、「木は細胞の中の水分が蒸発するのに時間がかかる」という事は、木という生物としては、どんな目的があるのか、ちょっと気になります。

例えば、ミカンの皮が水分を含んでいるために中身の実が長持ちする(それは、実がが長持ちした方が、食べられて種を遠くに運ばれる確率が高くなるから)といった事のように、自然のモノには全て理由があると思うからです。

ミカンの皮の水分って本当に素晴らしい仕組みですよね!

気の水分に関しても、きっと、そんな素晴らしい理由があるはずです。


薪ボイラーを使い始めてから僕は、木を乾燥させることの奥深さを痛感しています。




木が燃える為には乾燥している必要があります。

しかし、それは0か100かではなく、(よく燃える為には)限りなく乾燥度100%に近づこうとする状態があるわけです。

火の勢いが強ければ湿った木材でも燃えます。これも「燃えるか燃えないか」という0か100なのではありません。湿った木が燃えている状態は、火の勢いが強くて内部の水分を蒸発させてから燃えているのです。

つまり、木が湿っていればいるほど「燃えるけど水分を蒸発させる為に、木材の潜在的なエネルギーをロスしていると」いう事になるのです。


ですから薪ストーブの燃料にする木材は、しっかり乾燥しなければならないのです。


建築材料としての木材もそうですが、木の乾燥というものは非常に難しいものです。

なぜなら、木の細胞の中に入っている水が、なかなか出ていかないからだそうです。

大黒柱にするような欅の柱など、まず10年以上、表皮が腐ってくるまで野ざらしにし、
そこから初めて製材としての乾燥が始まると言われています。

薪の乾燥に話を戻すと、例えば広葉樹なら、適当に切った丸太をワンシーズン乾燥させ、薪割りしやすくなったところで薪割りし、よくある薪の大きさにしてから、さらにワンシーズン積んで乾燥させれば完璧といったところでしょうかね。

ですから薪の乾燥のためには、3年分の薪をストックするのが理想的なのです。

次回に続きます。





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    ・毎月第3土曜日8:00〜 参加費は1組1000円(朝食付きです)    
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2019年9月16日月曜日

190916 台風被害

先日の台風被害の全容が明らかになってきていますが、千葉だけでなく横浜や大島などでも大変な事になっているようです。

僕は、姉が成田市に住んでいます。あの暑い2日間電気が通らなかったそうです。

幸い、水道とガス(オール電化ではないので)は通じていたのだそうですが、電気が2日来なかったのはかなり大変だったそうです。

それがもう1週間も続いている地区がある事を思うと心が痛みます。

構造物の被害は、すぐに立て直すことは難しいかもしれませんが、水道と電気だけは一刻も早く復旧し、被害に遭われた方が1日も早く、せめて夜安心して眠れるようお祈りしております。



今回の台風で、地震は起こる、台風は来る、それに加えて夏場は冷房がないと暑くて生きてゆけないような、日本はそんな国なのだと思い知らされました。

そして改めて、建築は、まずはシェルターなのだと痛感しています。




2019年9月15日日曜日

190915 世界遺産

先日東京に行ったのですが、久々(10年ぶりくらい)でノアビルの前を通りました。

故白井晟一さんが設計した、あまりにも有名な建築です。新築してから50年位経っています。

それにもかかわらず、流行とか古さとか全く考える意味のないような、絶対的な存在感で建っていました。

一歩間違えば墓標っぽい感じがするからなのかもしれませんが、「例えば400年後、何かで東京が壊滅状態になっていたとしても、ノアビルだけは変わらずに建っているんだろうな」と思わせられるような建築です。

エントランスもちょっと覗き、「やっぱり凄いな」と改めて感心、いや感動してきました。


エントランスポーチ?の見上げ



近年、ル・コルビュジェとかの近代建築が世界遺産になってきていますが、そろそろ白井晟一と丹下健三の建築は、世界遺産にしなければいけないんじゃないですかね!

まあ、「このノアビルを建てかえよう」なんて思う、畏れ多いバチあたりは、いないと思いますが.....



ところで、話は変わり先日のセミナー再開に関する件です。

とある人に言われたのですが、「あれはセミナーじゃなくてサロンだよ」

よく考えれば、僕が喋るだけではなく、皆さんのお話を聞いて話し合い、僕自身も考えることができるし、お茶もお菓子も出ます。サロンですね。

ということで、サロンに名称を変更します。

そしてサロンなら、アフターヌーンかモーニングと相場が決まっていますので、ちょっと時間を早めてモーニングサロンにすることにします。

毎月第3土曜日、朝8:00からモーニングサロン。時間も早くなるので、朝食がわりに、ウチの自慢のホットサンドも用意します。

基本内容は変わらず、4回ひと回りも変わらずですが、楽しく興味深い話をしましょう。







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2019年9月14日土曜日

190914 建築セミナーを再開しますので是非ご参加下さい

最近、初めは建築だけの相談だったのに、様々な可能性の検討しているうちに、土地の使い方そのものの提案になるという仕事が多い気がします。



建築は、建ってしまえばそれでおしまいなので、設計段階ではあらゆる検討をします。

それを可能性の1つとして、当初クライアントが考えていたプランへの提案と共にお話しすると、「そっちの方がいいね!」となり、当初とは全然異なる方向へ話が進む、ということになるのです。

土地活用の話であったり、事業のこれからの展開だったりするのですが、その方向性をトコトン検討した結果、「やはり当初の考え方で行こう」ということもあったりまします。

過程がどうであれ、検討した結論がより良いのが一番であれば良いし、その為にしている事なので、ボツでも次につながるボツと言ったところでしょう。



ボツになった幾つかです。







このような検討をする時、いつもパソコンで簡単なモデルを作って検討しています。

こんな検討をするのにいつも模型を作っていたら、すぐに事務所が一杯になってしまうので、パソコンで作っているのですが、モデルで良さそうなものはつい模型を作ってしまいます。



ところで、このところやっと脚の調子が戻ってきたので、土曜日の建築セミナーを再開します。建築に関するご相談もお受けしますので、スケジュールをご確認の上、是非ご参加下さい。





・・・スタジオセミナー「山梨の理想の家のきまり23」へのご参加、
   (毎月第3土曜日10:30〜 セミナー参加費は1組1000円)
     建築に関するご相談(こちらは無料です)はこちらへ  





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2019年9月5日木曜日

190905 サウナのこと6

最近「サウナのこと」を書くと、ブログの閲覧者がいきなり増えることに気がつきました。

どうやら最近、巷ではサウナが流行っているそうですね。良いことです。

今後日本でも、自宅にサウナを持つ人が増えればいいですね。

さて、次回からの続きです。




ペレットに話を戻します。

暖房のエネルギーを得るため、僕の場合は地元の加工場でペレットを買います。

山梨には、いくつものペレット製造工場があり、地域の木材を使用してペレットを生産しています。

山が近い所に住む人は、ペレットに関して都会の人よりも地域ボーナスがあります。

うちの事務所の場合は、すぐ近くに加工・販売所があるので、さらに有利なのです。割増ボーナスを受け取らない理由はありませんよね!



僕が暖房のエネルギー得るために支払ったお金は、地元の加工場の利益の一部になり、行政に税金として支払われます。そして山の問題はそう簡単ではありませんが、地元の森の改善に少なからず良い影響を及ぼします。

つまりペレットを使うことは、複合的に地域社会に貢献することになるのです。

それに対して、暖房のためのエネルギー源を電気や灯油に求めた場合はどうでしょう?

確かに、地元の販売業者さんから灯油を買えば幾らかは地域でお金がまわります。実際、僕は友人が経営しているガソリンスタンドで灯油を買っています。

しかし、その先は大手電力会社だったり、大手石油会社だったり。さらにその先は、メジャー石油会社、そしてアラブの石油産油国の利益にたどり着くのです。

暖房をするために支払ったお金が、地域でまわり、それに伴って人の繋がりも深まるか?それともアラブの大富豪の自家用ジェットの一部になり、もしかしたら紛争の引き金にもなっているかもしれない、のか?どちらを選択すべきかは明らかですよね。

ペレットストーブを導入したおかげで、僕は「家の中にファイアープレイスがある心地よさ」と、「地域でお金を回すことにつながるバイオマスの可能性」をより深く考える様になったのです。



先ほど、「薪ストーブにしようか悩んだけれどペレットストーブにした」と書きました。ここで、これまでの話を踏まえた、ペレットと薪の比較をしてみたいと思います。

今までペレットと散々書いてきましたが、そもそもペレットをご存知無い方もいると思います。

ペレットとは、「木を砕いて圧縮して固めた、直径が5ミリくらいの円柱状の燃料」です。それが米袋のような袋に入って販売されています。

小さいので、ペレットストーブの中でも砂時計の様に自然に落ちて燃焼することができ、そのスピードを調節することで炎の大きさを調節することができます。

「ペレットストーブはFFファンヒータのようなもの」と書きましたが、その燃料の調節と送風の為に電気が必要です。

ペレットは風を送らないと燃えません。だから電気が無いと(基本的には)ペレットストーブは使えないのです。

対して薪ストーブは、煙突効果で空気を取り入れ燃焼するので、電力は必要ないのです。

しかし、その為に薪ストーブには煙突が必要です。薪ストーブは煙突があることによってその効果で空気を取り入れますが、ペレットストーブは煙突が無い代わりに、電気で風を取り入れて燃えているのです。



この2つを「製造」という点で比較すると、工場で加工しなければならないペレットより薪の方がシンプルです。

薪は山から木を伐って来さえすれば良いのですが、ペレットは木を細かく粉砕して押し固めなければならず、その為のエルギーが余計にかかります。

ちなみに、僕はペレットのツヤっとした表面を初めて見た時、「何か接着剤的な物を混ぜて固めているので、このようにツヤっとしている」と思いました。



砂時計のように、すり鉢状になった燃料タンクの中のペレット。ツヤっとしているのが分かりますか?



しかし、実際は木以外のものは何も入っていません。

元から木に含まれている糖質などの成分が、接着剤的な効果を果たすのだそうです。考えた人は素晴らしいですね。



製造過程でもエネルギーを使い、燃焼させるのにも電力が必要なペレットと、煙突さえ付けておけば自然に燃える薪。それだけで比較すれば薪の方に軍配が上がります。

しかし、そこに「煙突と乾燥」というさらなる条件が加わることで、その優位性が変わってくるのです。



次回に続きます。






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2019年9月4日水曜日

190904 サウナのこと5

前回からの続きです




薪ストーブとか、焚き火とか、木の(特に良い木の)燃えるときの匂いは、なんとも良いものです。

後で書きますが、エストニアの民俗博物館に初期のサウナ建築を見に行った時、それらしい小屋に近づくと、木というか炭というか、とても良い匂いがして思わず嬉しくなってしまいました。

ちなみに、木が燃える時、良くない匂いがする木もあります。我が家ではよくキャンプに行くのですが、バーベキューをする際に使う木炭で、安いものはドブ臭い様な匂いのするものがあります。



以前、綺麗な川のほとりでキャンプをしていた時、「なんかドブ臭いな」と思って色々なところを嗅ぎまわった結果、燃やしている木炭が臭かったということがありました。

多分どこか外国の汚い海に、ずっと浸かっていた木を木炭にしたのでしょう。

「燃やすと臭う」という事は、炭の中にあった「臭う成分」が出てきた、ということなのでしょう。



木が本来持っている成分の中にも臭い?モノはあります。

以前設計し、薪ストーブを設置したお宅を訪ねて聞いた話なのですが、「まちがって漆の木を燃やしたら、煙でかぶれてしまった」事があるそうです。




キャンプで使った薪は明らかにドブ臭かったので、そういう外的要素がくっ付いたものだったのでしょう。


炭を燃やして出てきた不快物質。それを吸って臭いのも不快だし、健康にも良くないと思うのですが、さらに、その物質で肉を炙っているという事を考えたらゾッとしてしまいました。

それ以降は、出所のきちんとした「備長炭」にしています。

しかし、これが何しろ高い!安い外国産の10倍以上します。

外国で生産されて船で運んでくるのに、国内で生産された物の10倍以上の値段の差というのは、一体どんなカラクリなんだ!?と思います。

安い外国製の木炭を、お店から逆に遡って見てみたいものです。同じ事は、先ほど書いた紙の事でも言えます。




「地域でお金をまわす」という考えがあります。

例えば、建築の仕事をしている僕が、近所の魚屋さんでいつも買い物をするとします。そうすると、その魚屋さんがいつか家を建てる時、僕に設計を頼んでくれるかもしれません。

いつも大手のスパーで買い物をしても、大手のスーパーから、弱小設計事務所に仕事の依頼が来るなどという事はまずないでしょう。

それと、大手のスーパーで買い物をしても、そのスーパーは本社のある東京などで税金を支払うので、地元行政の財政にも何もメリットがありません。

比べて、地域の魚屋さんと、地域の建築業者である僕とのやりとりではどうなるでしょう?

説明する必要もないですよね。

この「地域でお金をまわる」を書きだすと終わらなくなるのでやめにしますが、一番大切な事は、「地域でお金がまわると、そのお金と一緒に人とのコミュニケーションも廻る」という事です。




次回に続きます。






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240419 新事業

前回からだいぶ間が空いてしまいました。 正月早々地震があって、今度は中東の雲行きが怪しくなって、そしてまだGW前だというのに、夏のような暑い日が出現しています。 先日、七尾まで足を延ばしてみましたが、大倒壊という感じの建物は少ないものの、まだ道路が結構うねっていたりして、地震の凄...